1998の灯 中編

「混沌のアジア予選」

 

今でもそうだ

W杯予選、アジアの険しい道のりを歩む戦士達を、初めは世間も応援する

ところが上手くいかなくなると、次第に批判が始まる

特にネットでは何故か

絶対数が多いはずの擁護派より、批判意見の方が多い気がする

 

「選手を代えれば良い」

「4バックなら勝てた」

「監督が責任を取って辞めるのが、海外では当たり前」

なんて

 

俺は言いたい

自分達は出来んのかい!?

顔と名前出して戦えないなら言うな

絶対出来ないだろ

批判するなら応援しろよと

 

ネガティブじゃ何も生み出せやしない

むしろ・・・

 

そもそも中東や東南アジアといっても

大の男達が本気でやるわけだから、ギリギリの戦いだ

相手もプロ、生活がかかっているとカズも言っていた

 

それはサッカーの上手い下手以前の問題で、ほとんど椅子取りゲーム

全盛期のカズや、中田、俊輔、大黒がいてもそう簡単ではないはず

 

敵はイングランドでも、ブラジルでもない

そういう強さじゃない

 

韓国のあいつが・・・

アウェイのUAE・・・

 

50度に上り狂う中東の最高気温は世界平均の約2倍!

 

精神力、戦術、社会情勢、アウェイへの順応、総力戦で実力差も乗り越えていけ!

今も昔も変わらないW杯アジア予選の、真の面白さがそこにある

そうあの日々も・・・

 

「1998の灯」

 

1998年W杯最終予選

あれは今よりもっとHARDで、ROCKな・・・

17世紀なんじゃないかと言いたくなるほどのカオスで

日本が満ち溢れていった💦

 

ウズベキスタン戦は良かった

上手くいっているときは皆、性格が良いものだ

でも駄目なとき程、人間には真価が問われるだろう

 

実際、結果はだんだん右肩下がり

案の定、性格に問題をきたす人が現れていった・・・

 

アウェイUAE  0ー0 (灼熱のピッチで悪くはなかったが)

ホーム韓国 1-2 (84分、87分失点で逆転負け、エースカズ尾てい骨負傷)

アウェイカザフスタン 1ー1 (エースカズ強行出場も89分に失点で振り出し)

 

攻撃陣の不甲斐なさ、終了間際の失点にDF陣はいら立ち

城などの出られない若手の不満はピークに達していた

そして加茂監督が更迭(こうてつ)された

 

この瞬間から、監督経験のない岡田体制へ大きく流れが変わる事になった

この新陳代謝はカズにとって、城との世代交代を意味する事になる

 

その後の岡田ジャパン

アウェイウズベキスタン 1ー1(勝ち点1がやっと)

ホームUAE 1ー1 (勝ち点1がやっと)

内容は悪くなかったが結果が出なかった

 

アウェイ韓国 2ー0 (FWよりMFがゴールする、岡田体制の理想的ゴール)

ホームカザフスタン 5ー1 (結果が伴ってきた)

中立地ジョホールバル イラン3ー2(カズ絶不調からの→城絶好調、ついでに岡野)

 

何とか持ち直した岡田ジャパンは、史上初のW杯出場を決めた

これは歴史の壁を越えるという、本当に凄い出来事だった

 

一方でFWにスペースを作る動きを求める事で、カズの無得点が続いていた

この戦術の変更には、無意識レベルで正当化された鬼が

監督の中にいたのだと俺は思う

 

そして事情を知らない世間の思考が、形となり混ざり合い

得体のしれない黒い影となって、この世に生み出されてしまったんだ

カズを外せ・・・外せ・・・

所謂(いわゆる)、カズ不要論である

 

敵が誰なのかさえも見失う、群衆心理が蠢(うごめい)ていた

 

そしてW杯は始まり、終った・・・

 

アルゼンチン、クロアチアに善戦も0ー1

ジャマイカに1ー2で予選敗退

 

特に今度はエース城を絶不調が襲った

もうどうしようもなかった

はっきり言って「誰も悪くない」が正解だろう

これが夢に見たW杯、実際には夢ではなく現実が待っていた

 

W杯予選では、カズより城という世論の思考が具現化され

W杯本大会では、やっぱりカズがいなきゃ駄目なんだという現実に晒された

 

日本中が大きな思考の渦潮に飲まれて、凪になった

 

ジャマイカ戦を終えて、ピッチに墜ちた盟友井原の背中には

カズよ何故なんだ?

何故いてくれないんだ!

そんな言葉が書いてあるように、俺には見えた・・・

 

後編へ続く