1998の灯 後編

「人の生きる道」

 

あれから23年の月日が流れた

あの頃の友人達は親になり、家族の為に今を生きている事だろう

一方の俺は相変わらずの独り身で、ブロガーなんて夢見てる

時代は変わり、それぞれが流されて遠くここまでやってきた

俺達は確かに大人になった

 

あの頃は理解出来なかった事が、今なら分かる気がする

岡田監督は何故、鬼にならなければいけなかったのか

 

それは鬼にでもならなきゃ、カズを外すなんて事は出来なかったから

フランスに残る事がチームの為にならないとまで言った

どう考えても、カズは誰より熱い気持ちでW杯を戦えたはずなのに

 

きっと岡田監督は、古い権力の凋落(ちょうらく)によってのみ

新時代の力を手に出来ると、信じていたのだと思う

わざと自らの気持ちを封印し、追い込み信じた盲信は

全て日本の為だった・・・

 

その後、岡田監督はJ2コンサドーレ札幌を優勝へ導き

J1横浜Fマリノスでは、Jリーグ史上初2年連続優勝の偉業を成し遂げた

そして2010年アフリカW杯では

再び日本代表監督として戦う所まで返り咲いた

 

失敗をどうとらえるかが人生のカギになる

それは本当に悪い事なのか

シュートは打たなきゃ入らない

 

ロベルト・バッジョの有名な言葉がある

「PKを外す事が出来るのは、PKを蹴る勇気を持つ者だけだ」

 

誰かが決めた答えなんかじゃ、納得できない

自分が人生で経験してみて、感じた答えの中に真実があるのだから

 

そうカズも・・・

 

54歳になった現在もカズは現役を続け、自分だけの答えを探している

そしてもう一人の自分に問いかけている、カズはもう駄目なのか

 

「俺だって分かってる、それでもいい」

「やって見せたいんだ、ボロボロになってもどこまで出来るのか」

「試してみたいんだ、俺はまだ墜ちてないぜって」

「なあ見ててくれカズさん、これが今出来る俺の全てなんだって」

「まだまだ俺は満足しないぞ、今に見てろよ」

「出来るだろ?俺はキングなんだ・・・」

 

きっとカズはもう一人の自分に、そう問いかけ続けている

そして見届けてほしいんだ

選手としての最期を

最期まで力を出し切って終えるそのときまで・・・

 

結果の出ない人生に価値はないのか、いやそうじゃない

俺は中学から登校拒否で、大人になってからも13年間引き籠った

失敗した人生だったかもしれない

でも人生は完璧じゃなくていい

その完璧じゃない人生を、いかに一生懸命生きようと出来るか

それを試すために人はこの世に生まれてきたのだから

 

人は皆、迷い苦しみ、いつか自分の答えを出すだろう

どちらが正しいか分からなくなったら

心が前向きになる方を選べば良い

胸が熱くなる方を、笑顔がこぼれる方を・・・

 

カズを好きでいられたこの23年間

1998の灯は、ずっと俺の心を灯してくれた・・・

 

END