何年か前にメルカリというものを知ってから
俺は随分とお世話になって来たけれど、最近気付いたことがある
メルカリで買ったものはどうしてか、この家に、部屋に根付かない
何故か、買った物はすぐにメルカリで売ってしまうことが相次いで
メルカリとはそんな運命にあるのではないか、そう思うようになったのだ
Lv19 [本当に必要な物は初めから……]
「物」は初めに買った人の念、思いみたいなものが具現化してそこに現れる
それが、初めに生み出した人を離れるとその縁は薄れていき、やがて……
そもそも、メルカリで売っているものは、誰かがいらないから売っている物なのだ
本当に良い物なら、自分用として取っておこうと思うはず
誰かがいらない物ならば、やがて自分にもいらなくなる日が来るだろう
多くは一時の縁を共有してから、新しい場所へと流れていってしまうのだ
断捨離をしていると、メルカリだけでなく若い頃に買った物の多くが
同じように何処かへと、流されていくことに気が付いた
安く手に入れられる物や、お金に余裕のあるときに買う物は、大抵余計な物なのだ
すでに持っているのに、新しい物、違う色の物、それをしまう為の物
それはどんどん増えていき、減らす度にどんどん減っていく
結局、最後まで家に残っていた物を見渡すと
そこには、子供の頃から家にあるタンスとか、親が結婚したときの食器類とか……
自分と縁の深い、生きていく上で必要な物ばかりだった
物を手に入れるとき、それは自分が具現化したときなのだ
今は必要ないと思う物は、それを手にしたときの自分が
それまでの人間だったということなのだろう
今でも絶対に必要な物、古くてもずっと大切にしていきたい物は
自分をそう思ってくれる人達がいたということなのだろう
本当に必要なものは、初めからそこにある
自分を必要としてくれる人が、そこにいる
END